池野にとって、それは生まれて初めてのオックスフォード訪問。一般客の出入りが困難な場所でも、卒業生である末っ子が同行しているために訪れることが許された。そこは時間が止まったかのような大学町。何百年と英国の知が集まり、生活し、過ごしてきた時間が降り積もるかのような空間。約1000年近い伝統と格式を今に伝えるオックスフォード大学の雰囲気に、池野はしばし圧倒された。英国イングランド南東部、緑溢れる美しい町々での短期留学を斡旋したいと考えていた池野にとって、重厚な歴史を感じさせるオックスフォードの雰囲気はなんとも言いがたい魅力に満ちていた。このオックスフォード訪問が、後のUTSにとって大きな影響を与えることになる。
70年代半ば、UTSドイツ支部では60年代の後半からオックスフォードでの英語研修を実施していた。
オックスフォードに急激に興味を持った池野は、オックスフォードでの英国人担当者をUTSドイツに紹介してもらう。当時、オックスフォードでの担当者は、グラハム・シンプソンというオックスフォード大学博士課程の大学院生であった。シンプソン氏と協議を重ね、翌年の1975年、ついにUTS日本発オックスフォード英語研修をスタートする。
UTSが提供するオックスフォード英語研修は、単なる英語研修ではなかった。
4週間の滞在中、オックスフォード大学ペンブルックカレッジの教室を利用し、英国の生活、社会、政治、文化、歴史などのテーマを英語で学ぶ。そして研修の最後に参加者各自の英国観について、研修参加者と教師に向かってプレゼンテーションを行うのだ。ツールとしての英語を学ぶにとどまらず、学んだ英語を用いてイギリスを学び、発表する。
このような研修であったから、参加者は英語に対して非常に大きな自信を手に入れ、大きな満足と共に研修を終えることになった。
このオックスフォード英語研修は、コンセプトスタディの基礎として発展。今日では、UTSが協力している法政大学国際政治学科オックスフォード大学夏期研修の雛形となっている。
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